手羽作文

東京在住の手羽先くんが、反省を込めて書くブログ

PPAPブレイクまでの軌跡を追うと見えてくる、avexの強力なインフルエンサー戦略

 

全員が首をかしげた、『なぜPPAPはこんなにもブレイクしたのか?』

みなさんこんにちは!今日は、世界中で大人気のPPAPについて考えていきたいと思います。

PPAPが大ブレイクしてから、『なぜPPAPはこんなにもブレイクしたのか?』という疑問に対して数多くの分析がされました。

もちろん、

①真似しやすさ(尺の短さ、振り付けの単純さ)

②ノンバーバル(簡単な英単語しか使っておらず、世界中誰でも理解出来る)

という、バズの条件を見事に備えていた事はいうまでもありません。

(※ちなみに筆者の独断では、バズる動画の三大要素は①:『真似しやすい』 ②:『人に教えたくなる』 ③:『ハイクオリティ』 次点:『ノンバーバル』です。1つでも十分ですが、なるべく多く当てはまっているとバズりやすくなります。)

PPAP自体は、9月中旬ごろから中高生のよく使う「ツイッター」及び「Mix Channel」で話題になり始め、9月の末頃に人気が加速して、その数日後にジャスティン・ビーバーリツイートし、世界中でのブレイクとなったのですが、

しかし、その背後に見え隠れする、大手事務所の存在を意識しないわけにはいきませんでした。

その事務所とはもちろん、ピコ太郎こと古坂大魔王さんの所属する「avex」です。

転載や2次創作まで、全てのPPAP動画を管理下に置いたavex

事の発端は、PPAPの転載動画やカバー動画を見ていた時のこと。(↓世界で最も再生されたPPAP転載動画)

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右の数値や文字はGoogle Chromeの「VID IQ」というプラグインによって表示されています。

次にこちらの双子タレント「りかりこ」がPPAPをカバーした動画を見てみると、

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どちらも右下に「avex」と表示されています。

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これは、この動画が「avex」の管理下に置かれていることを表しています。これはおそらくYouTubeの「Contents ID」という機能を使用したもので、音声や映像から自動で著作物の流用先を割り出し、管理下に置くものです。その設定は多岐にわたり、例えば、その動画を「非表示に」したり、その動画の「収益を回収」したりできます。

ピコ太郎の所属事務所である「avex」は、日本最大の企業YouTubeチャンネルを持つ最大手だけに、そういった機能にも熟知していたと思われます。違法転載や、著作権侵害の動画をむやみやたらと削除することは、いわゆるカバーやREMIXなどの『2次創作』をも制限してしまうことになり、ブレイクの芽を自ら潰してしまう。そこをよくわかっているavexは、一見放置しているように見せながら、PPAP関連動画を一手に自らの管理下に置いていたのです。

しかし、ピコ太郎がavexに所属していたメリットはこれだけではありませんでした。

PPAPを話題にした芸能人たちを時系列で見てみる

まずは、PPAPの本家の動画がいつ公開されたのかを見てみると、「8月25日」となっており、9月末のブレイクまで、1ヶ月程度あることがわかります。当たり前ですが、新規チャンネルに突然動画を公開しても、再生数は全く伸びません。そんな時、再生回数を伸ばす最も効果的な方法は、既に人気のあるインフルエンサーに紹介してもらうこと。その点、PPAPにはavexの抱えるインフルエンサーたちの、強力な後押しがありました。今回はそれを時系列で見てみましょう。

 ①8月25日にAAA日高光啓が、9月7日に宇野実紗子がツイート

真っ先に反応しているのが、若者に絶大な人気を誇る「AAA」のメンバーたち。それぞれ50万人以上のフォロワーを持つ大インフルエンサーです。ピコ太郎は、彼らの強力な援護射撃を受けて、「気付かれない」という最悪の事態を避けることができたのです。

 

まだまださほど話題にもなっていなかったこの時期にこの紹介はありがたすぎる。PPAPブームの影の功労者と呼べるでしょう

この時期あたりからじわじわとTwitterやMIX CHANNELといったプラットフォームで話題になり始めました。70万人のフォロワーを持つ宇野さんのこのツイートが大きな引き金となったことは想像に難くありません

 ②9月17日にSuper Girls、Dream5がカバー動画公開

その後も大小様々なインフルエンサーがPPAPを定期的に話題にし続けました。この時期は、中高生の間で、ブームが起きつつある時期。もちろん、ここで彼らの心を掴めたからこその次の展開ではありますが…

にわかにPPAPが加速を始めたのは、9月の末になってから。

 ③9月24日 まこみな、MIXチャンネルでピコ太郎とコラボ

 まこみなは、MIXチャンネルで40万人のファンを持ち、Twitterでは18万人のフォロワーを持つ、若者たちのトップインフルエンサーです。そこにピコ太郎本人を登場させるという本格コラボ。ピコ太郎の周囲が、本腰を入れて彼を押し出そうとし始めたことが推測できます。

この後、見逃せないのは、世界中のFacebook,Instagramで多大な影響力を持つ、ネタ投稿サイト「9GAG」でピコ太郎が人気になり始めていること。世界に届いたのは、この「9GAG」の効果が大きそうです。

そしてついに…

 ※9月27日 ジャスティン・ビーバーがツイート

 ジャスティンはavexの人ではありませんが、大きな出来事なので一応。これは完全に誰もが予想外だったはず。このあたりになると、既にブームは何もしなくても勝手に走っていきます。

しかし、avexの持ち玉はまだまだ続きます!

 ④9月28日 Instagramの超大物、木下優樹菜現る

 

ついにジャスティンの翌日、国内トップインスタグラマーのあの人が動きます。心置きなくまこみなの動画を転載出来るのも、関係性があるからでしょう。この動画は国内Instagram動画ランキング1位となり、その堂々たる影響力を見せつけました。

参考:ユッキーナもハマった!【ピコ太郎】のペンパイナッポーアッポーペンの動画がインスタグラム国内ランキング第1位に!

その後も、住谷杏奈や、「lol-エルオーエル-」などが定期的にSNSに投稿し、常に話題を振り向いていますが、注意したいのは、

彼らがみ〜んなavexだということ!

もちろん、流行の中で、avex以外のインフルエンサーも数多く取り上げてはいますが、しかしそれでも、avexの芸能人インフルエンサーの影響力はすさまじく、特に序盤では、PPAP流行の下地を彼らが作ったとみてよいでしょう。

※厳密には木下優樹菜プラチナムプロダクションavexグループではないようですが、avexが主要株主でつながりが深い

では、結局avexは何がすごいのか

今回の件から何を学べばよいのか、様々な示唆があると思いますが、1つだけ言えるのは、『インフルエンサーを抱えることの重要性』ではないでしょうか。以下は筆者の予測になりますが、おそらく、8月25日の時点で、PPAPがここまで流行することを予測できた人間は皆無でしょう。ジャスティンビーバーも狙って動かしたとは思えません。しかし、動画の海の中に沈みそうになったPPAPをすくい上げたのが、AAAのメンバーでした。彼らもおそらくavexに指示されてやったわけではないでしょう。彼らは古くから古坂大魔王と共演歴があり、同じ事務所のつながりの中で、純粋な応援の気持ちで紹介した可能性が高いと思います。Super Girlsも古坂大魔王と数多く共演しています。avexが本腰を入れて押し始めたのは、おそらく「まこみな」あたりからで、それまでは、インフルエンサーたちが、横のつながりでPPAPを育てていったと思われるのです。このことから言えるのは、SNSインフルエンサーを積極的に育て、抱え、交流させてきたavexの戦略が花開いた』ということではないでしょうか。ここ数ヶ月の動きというよりも、何年という単位で、SNS戦略に取り組み、インフルエンサーを育ててきたからこその、PPAPブームだったのです。芸能界でここまでのインフルエンサー集団を持つ事務所は、他にないのではないでしょうか。

ただ、キャッチーな動画が運よく、なんとなく、ブレイクすることはもはや無いのかもしれません。今、ネット動画の世界ではそれぞれのSNSが複雑に影響しあい、ついに世界の音楽シーンにまで影響を与える時代になってきている、そんな象徴のような出来事でした。