手羽作文

東京在住の手羽先くんが、反省を込めて書くブログ

睡眠欲選手権

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舞台は2036年の日本。スタジアムには超満員の観客が詰め掛け、イベントが始まるのを今か今かと待ち構えている。

 

司会者「さあ!会場の皆さん!そして、全国の不眠症患者の皆さんこんにちは!睡眠欲選手権の時間がやってまいりました!

 

 大きな歓声が上がる

 

司会者「エイズ、ガンなどかつて死に至ると言われた数々の病を克服してきた我々人類。しかし!ついに克服できなかった最後の病!それが不眠症であります!今や日本人の国民の病気と言われる不眠症。我々はなんとしてもこの病を克服しなければなりません!そんな不眠症との戦いの、シンボルを決める大会、それこそが、この、睡眠欲選手権なのです!」

 

 大きな歓声

 

司会者「睡眠欲の強い人間は我々の希望の光だ!

 

 大きな歓声(以下略)

 

司会者「今日、この場所で、日本一睡眠欲の強い人間が決まります!この日を、人類が不眠症に立ち向かう1歩目としようじゃありませんか!」

 

 司会者は大きく拳を振り上げた。観客たちは興奮している。誰もが、目を血走らせ、その下にはクマがある。みな、不眠症なのだ…

 

司会者「さあ今回、全国各地で行われた厳しい予選を突破してこの決勝まで勝ち上がってきたツワモノ、いや、眠りものは3名!ご紹介していきましょう!解説は『羊を数える会』代表の大島さん。よろしくお願いします!いつから寝てないんですか?」

大島「5日ほど寝てません!」

司会者「かわいそうだ!」

 

 大島はまさに壮齢の貫禄ある紳士である。大きなクマがあることを除いては…

 

司会者「それでは参りましょう!まずは1人目!居眠りによって会社をクビになること15回!その場所を選ばない眠りっぷりが、数々の上司たちの逆鱗に触れてきた!現代社会の眠り姫!ニートのしずか!

 

 登場ゲートが開き、しずかが現れる。しかしその足取りは重い…

 

司会者「ああっしずか選手!もう半目です!今にも寝そうです!さすが!…すみません、ちょっとこちらの競技エリアまで来てください!…ああ~全然進まない!…まるでゾンビのような足取り!」

大島「彼女の脳を研究したところ、キリンにしかないはずの神経回路が見つかったそうです」

司会者「なんと!あの、サバンナで猛獣から身を守るために、立って寝るというキリンに近づいているというのか~!これはダーウィンもびっくりの進化論だ~!」

 

 司会者が絶叫している間に、しずかは係員に引っ張られて、スタジアム中央にある競技台へやっとたどり着く

 

司会者「続いては2人目!なんと、ノンレム睡眠までの到達速度がわずか0.1秒!その仕組みは現代医学に残された最大の謎とされ、ハーバードの教授たちもその早ワザを見学に来るという、難波の光速スリーパー!ニートのタケル!

 

 登場ゲートが開き、元気いっぱいに手を振りながらタケルが現れる。

 

司会者「ああっと、出て来ました!おお!意外と溌剌とした姿!と思ったら眠った〜!!!!何という寝つきの速さ!寝ちゃいました!もはや競技台までたどり着けません!

大島「彼はかつて高校野球のピッチャーだったんですが、投球してから、そのボールがバッターに打たれるまでの間に眠ったという伝説の持ち主ですからね」

司会者「意味不明なエピソードに逆に凄みを感じますね!」

 

 ゲート前で眠りこけてしまったタケルは係員に担がれて、スタジアム中央にある競技台へやっとたどり着く

 

司会者「そして3人目!なんと、予選大会では、眠ったままアメフト部に胴上げされても起きなかったという、驚異的な眠りの深さを披露!一度眠ったら目覚めざること山の如し!甲斐の眠れる武田信玄こと、ニートのショウヘイ!

 

 登場ゲートが開く。しかし、そこには誰もいない 

 

司会者「さあ!扉が開きましたが…あれ?いません!ショウヘイがいない!どうしたんだ!(1枚の紙をスタッフから受け取り)えっ…あっ情報が入ってきました!なんと、ショウヘイ、遅刻!遅刻です!理由はなんと、寝坊だ~!!!!」

 

 ひときわ大きな歓声。そして「ショウヘイ」コールが始まる

 

司会者「1億総不眠症と言われる時代に、まだこんな勇者たちがいたんだ!唯一無二のスリーパーたち!日本、いや全世界の期待が渦巻いています!これは楽しみな勝負になってまいりました!

しかし…この大会、果たして始まるんでしょうか!?

 

©手羽先くん