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手羽作文

東京在住の手羽先くんが、反省を込めて書くブログ

立食パーティで孤独にならない方法とは

人生において、なるべく少なく済ませたいものは数多くある。例えばそれは、「立食パーティ」だ。日本人は立食パーティが苦手だと言うが、逆に得意な人種がいるということに驚きを隠せない。

 私も、社会人になって既に10回以上は経験したが、未だに慣れることは無い。なるべく少なく済まそうとしていたのに既に10回も経験したのだから、これからも経験し続けるのだろう。今から憂鬱である。

あれはもしかしたら、コミュニケーション能力が低い人間を炙り出す為のテストなんじゃないか、とすら思えてくる。どこかで天上人のようなおじさんたちが立食パーティの様子を別室で監視していて、つい一人でウロウロしてしまっている人や、隅で立ち尽くしている人を見て、笑っているのかもしれない。まるでカイジの鉄骨渡りのように。

あいつ、同じヤツとばっかり話してるけど、よく見たら会社の同僚じゃねえか、とか。全部バレているのだ。

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立食パーティの難しさとは

立食パーティの難しさは、「移行」にある。一人一人と話し込むような雰囲気ではない以上、1つの会話は軽めに切り上げて、別の人と次の会話に移行しなければならない。

参加者は、ジャングルの木から木へと飛び移るサルのごとく、常に会話から会話へとスムーズに渡り歩かなければならないのだ。これはパーティ終了まで続く、いわば持久戦だ。が、立食パーティが下手な人間は、これを乗り切ることができない。地面に落ちてしまうサルが現れるのである。一度落ちてしまったサルが樹上に戻るのは、難しい。

あてもなく会場をさまよう「立食パーティ難民」と化したサルは、次第に隅に追いやられて行き、異常にオシャレな料理を立ちながら食う、という何だか矛盾した行為に励むことになる。

気づいた時には、自分のグラスをどこに置いたかも忘れているのだ。

 

立食パーティで生き残る極意

しかし、そんな過酷な立食パーティだが、そこにある攻略法があると気づいたのは、何度目かのパーティの最中だった。その頃の私は、立食パーティ界最弱の徒であり、何気ない会話を繋ぐのに必死であり、その必死さが相手に伝わって、結局引かれているという男だった。

そんな私の前に、「立食パーティ上級者」ともいうべき、会社の同期 Kくんが降臨したのである。

Kくんは大学時代ゴルフ部という華やかな経歴の持ち主で、爽やかで清潔感があり、新入社員とは思えないほどの貫禄を持つ、まさに「良家の子女」といった雰囲気の男だ。私が立食パーティで別の人間と話していると、そのKくんがやってきて、こう言ったのである。

 

「何何!何で盛り上がってるの?」

 

これこそがキラーワードだった。

この言葉を受けて、我々はKくんに、今何の話をしており、どのように盛り上がっていたのかを説明するモードに突入したのである。つまり、一瞬にして我々はKくんのコントロール下に置かれたのだ。

そして説明が終われば、Kくんはまるで100年前からそこにいたかのような自然さで会話に参加し、やがて、去っていった。残された我々は呆然と彼を見送るしかなかったのだ。

 もうお分かりだろう。

立食パーティにおいては、「遮る力」こそが、生き残るための極意なのである。いかにして会話を遮り、自分の存在感を割り込ませるのか。何だ、そんなことか、と思われる方もいるかもしれないが、私にはこの、

 

「何で盛り上がってるの?」

 

を立食パーティで使う勇気はない。

この言葉は、既に盛り上がっている人たちに、それを中断させ、盛り上がりを説明させることによって、一旦、盛り下がるのもやむなし、という言葉である。気が弱くてデリケートな人間には、それは、なかなか使えないのである。

この時私は、Kくんの上級者っぷりに感心すると共に、自分が上級者になれる日は永遠に来ないであろうことを悟ったのだった…

 

 

 

「遮る力」は常に立食パーティを牛耳る

その後も私は、立食パーティの会場で、「遮る力」を度々目撃することとなった。

例えば、AとBが会話している時に、Cが「紹介させていただいてもよろしいですか?」といって入ってくるパターンだ。この場合、Cは、彼の知り合いであるDをAに紹介するために、会話を遮っている。ピンチに陥るのは、「じゃない方」であるBである。Aと会話に勤しんでいた安寧の時間は瞬く間に奪い去られ、緊急事態のサイレンが鳴り始める。

他にも、「あっ◯◯さーん!」と言って遠くから駆け寄ってくる若い女なども要注意だ。残された方はまるで結婚式で花嫁を連れ去られた新郎のように呆然と立ち尽くすことになる。

また、「偉い人」と会話する際も常に注意しなくてはならない。「偉い人」はさらわれる可能性が高いため、あまり会話相手としては安定しない。彼のスピーチの順番が回ってくればたちまち、あなたは孤独になってしまうだろう。

 

こうして考えれば考えるほど、立食パーティには危険が潜んでいる。どんなに華やかで、どんなに上品な空間でも、実際は弱肉強食のサバンナと大差ないのだ。

大体、皿とグラスを持ってウロウロするのって、何か変じゃないか。マクドナルドで席見つからなくてウロウロしてるのと一緒じゃん。

できれば二度と参加したくない立食パーティだが、そんなことも言ってられないのである。