手羽作文

備忘録と反省文を兼ねて書くブログ

渋谷のカラス

某月某日「怒り」

社会人になってから徐々に、怒ることが少なくなっていった。なぜだろうと考えてみたら、性格が穏やかになったのではなく、怒るようなことが降りかかったときに、それをやり過ごして考えないようにする方法をいつの間にか身につけたからだ。考え始めると「これは怒ってもいいよな」という気持ちが出てくるが、そもそも考えないので、怒りも湧かないという仕組みだ。昔は、全てのことに正面からぶつかっていたから、怒りを感じることが多かった。

 

某月某日「オシャレ」

よく深夜作業をしに行くファミレスには、毎晩そこで夜を明かすおばあさんがいる。いわゆるホームレスだ。ただしファミレスに住んでいるホームレスだ。ボロボロの、明らかにそれとわかる出で立ちで、いつもの席に座り、何か紙切れを読んでいる。彼女の指には指輪がはめられている。ボロボロの中にもオシャレがある。いつも思うがオシャレとは相対的なものだ。

 

某月某日「喫茶店

茶店で一息つくことの価値をひしひしと感じるようになった。

昔は喫茶店で使う金があるならラーメン屋に行っていた。

どう考えても大人になってきているのである

 

某月某日「サイゼリヤ

最近の深夜作業は専らサイゼリヤだ。

サイゼリヤは安いし美味しいので大好きだが、店内に無駄に壮大なオペラが流れているのは何故だろう。

壮大なオペラをバックに299円のペペロンチーノを食べていると、段々不思議な気持ちになってくる。

戦争で生き別れた男女が20年ぶりに再会するようなシーンで流れてそうな曲だ。

 

某月某日「カラス」 

朝の渋谷はカラスの街だ。

何しろカラスの方が人間より多いのである。

人間を恐れる気配もないし、時にはからかうようにやたら近くを飛んできたりする。

徹夜明けの私は、いつも肩を狭めて、カラスの気に障らないように歩く。

頭の中では「西暦20XX年、地球はカラスによって支配された」というナレーションが流れる。

徹夜明けで頭もおかしくなっているのだ。