演劇をやることにした。
37歳である。
37歳になって、いきなり演劇を始める人はあまりいない。
大抵は、大学卒業時とか、遅くても20代のうちに劇団を旗揚げするものだ。
自分でも「遅いなあ」と思う。
演劇というのは、ハイペースで作っても大体1年に2回公演が打てればいい方である。
作るのに時間がかかるし、キャリアを築くのにも長い年月がかかる。
そして全く儲からないので、赤字を気合いでカバーする必要もある。
そう考えると、今さら演劇を始めるメリットは見当たらない。
私はなぜ演劇をやるのだろうか。
それは、大学時代に打ち込んでいた演劇が楽しかったから、漠然と「いつかやりたいなあ」と思っていたからだ。
「いつかやりたいなら今やるべきだ」ということに、ようやく思い至ったのは、去年だった。
その背景には色々な思いがある。
色々あるのだが、この記事で書くのは、その中の一部を構成する「みっともない」感情である。
失われた"面白さ"を求めて
私の中では「私が大学時代に持っていた"面白さ"はテレビ局に就職してから辞めるまでの4年間で急激に失われた」という定説がある。
「大学時代の私はもっと面白かったはずなのに、テレビ制作に関する色々な"教育"を受けた結果、凡庸でつまらない人間になってしまった」と思っているのである。
テレビ局を辞めた理由の1つにもそれがあったかもしれないし、辞めたばかりの頃は、その意識がもっとはっきりとした「行き場のない怒り」として自分の中にあり、道を歩いているときなどに急にその怒りが湧き上がってきて、ゴミ箱を蹴りそうになったりした。(実際に蹴る度胸はない)
私は、私の才気が一番充実していた時に、それを封じ込めるような環境に身を置いてしまい、貴重な才能と時間を失ったのだと。
果たしてこれは本当だったのだろうか。
分からない。
ただの言い訳だと言われればその通りなのかもしれない。
正しさを求めること、角を丸めること。
これが概ねテレビ局で学んだことである。
そして皮肉なことに、テレビ局で学んだことは、その後フリーランスになった私にとって、一番の武器になったのだった。
テレビ局で学んだことのおかげで食ってこれた。
しかし同時に、私の面白さはどんどん失われていったのではないだろうか。
大学を卒業してそのまま演劇をやっていたら、どうなっていただろう。
今よりはるかに面白い人間になれていたのではないか。
そんなことを考える夜が無いでもない。
しかし、そんなことを言っても仕方ない。
過去は変わらない。
今の私に残された選択肢は、「37歳から演劇を始めるか、始めないか」の2つしかないのである。
でももしかしたら、演劇をやったら、私があの頃持っていた"面白さ"の一部だけでも取り戻すことができるのかもしれない。
全部とは言わないが、ほんの少しでも戻ってこないだろうか。
そんな、みっともないグズグズした感情が、私の中にある。
というわけで、演劇をやることにしました。
1年かけて準備したが、それなりに大変だった。別に楽しいこともそんなになかった。
しかし、やって良かったと、(今のところは)言える。
よかったら、見にきてください
◼︎◼︎公演詳細◼︎◼︎
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メロスは激怒しなかった。
なぜならアンガーマネジメント講習を受けたから!
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溶解光線 #1
『水分補給を十分にして走れメロス』
日程:2026年10月16日(金)〜10月18日(日)
会場:早稲田小劇場どらま館(東京メトロ東西線早稲田駅より徒歩約5分)
▼ 予約フォーム(高島優毅)
https://ticket.corich.jp/apply/477176/002/
▼公演情報URL

