手羽作文

備忘録と反省文を兼ねて書くブログ

映画祭でグランプリをいただいた話

これはやはり記録しておかなければならない。監督した短編映画「VR職場」が、ついに、グランプリをいただいてしまった。これ以上ありがたいことはない。とにかく今後も頑張って色々な賞に引っかかりたいと思っている私だが、生まれて初めてグランプリをもらう経験というのは、後にも先にもこれっきりなのである。

www.youtube.com

 

そんなこんなで私にグランプリをくれたセンスのいい映画祭は、「渋谷TANPEN映画祭CLIMAXat佐世保(以下略称:STFF-S)」という映画祭であった。簡単にいうと、渋谷で予選が行われ、決勝は佐世保で行われるという短編映画祭だ。色々あって渋谷と佐世保は縁が深いらしく、主催者の方が佐世保出身かつ渋谷で起業されているということもあって、とにかく「STFF-S」は今年で3回目の開催を数えている。

eizousya.co.jp

 

かくいう私も4年間渋谷に住んできた身であり、脚本も渋谷で書いたし、撮影だって渋谷で行った。渋谷のハロウィン真っ只中、宇田川町のガストでゾンビに囲まれながら脚本を書いていたこともある。機材を担いで道玄坂のホテル街を宮沢賢治ばりにオロオロ歩いたこともある。そんな作品(どんな作品だ)が渋谷の映画祭でグランプリをいただけたのだから、これはまさに感無量ということだろう。

f:id:kaitensushitaro:20200404222542j:plain

なぜか正面カメラの写真ではなく、横からの写真が使用された新聞

先に述べた通り、渋谷で何回か上映を経たのち、グランプリの発表は佐世保で行われるため、映画祭参加者たちは佐世保に集結する。イベントは三連休を使って行われたが、夜は皆やることがないため、必然、毎日佐世保の街で集まって飲むことになる。皆さん愉快な方々で、仲良くしてくださり、久々に「仕事じゃなく人と仲良くなる」というプロセスを体験したな、と思った。まあつまり、楽しかった。

 

それでもやはりグランプリの発表の前には、少し1人で佐世保の街を散歩し、色々なことを考えたりした。映画祭に応募を始めてそろそろ1年になる。自分にとっては初めての経験が多かった。日本中に数多くの映画祭があることにも驚いたし、DVDを何枚も焼いて、それぞれの応募用紙に記入して送ることの大変さも分かった。(対して、閲覧URLで応募できる映画祭のありがたさよ!)

そして、落選した時のダメージというのにも、最初は慣れなかった。まあ、慣れるのもどうかと思うが、少なくともそれでモチベーションを落としても仕方ない。例えば、映画祭によっては「私たちはあなたの才能を埋もれさせません」というキャッチコピーを掲げているところもある。そういうところに落とされると、「お前には埋もれる才能すらない」と言われているように感じたりした。完全に考え過ぎているし、映画祭の人もそんなつもりじゃないと思うが、始めて自分でゼロから作った作品ということで、自分自身そのものと重ねてしまっていた部分もあるのだろう。余談だが、今回のことで「選ばれるのをただ待つ」というスタイルは精神に悪影響だということを実感した。大奥の人間模様がドロドロになるのもうなずける。

 

一方で、選んでいただいた映画祭も数多くある。落選がかさむにつれて、入選のありがたみが沁みるようになった。ただし、その会場で賞がもらえないということも多く経験した。時にはノミネート監督たちが壇上に上げられて、グランプリが発表される。その時、どういう顔で拍手をすればいいのか?仏頂面がマナー違反なのは分かるが、満面の笑みも違う気がした。

必然、行き場をなくした悔しい気持ちを抱えて帰宅することになる。

眠れない夜もあった。

ある意味、それが表に出ようとする者の勲章なのかもしれないと今なら思うし、今後もそういう夜はあるんだろうけど。

 

そんなこんなで一喜一憂しながら半年ほど過ぎたが、ある日突然思った。

「失ったものを数えるのはもうやめにしよう。得たものを大切にしよう」

気づくのが遅いが、なかなか重要な指標にたどり着いた気がする。思えば、映画祭で得られた人脈も多く、「一番面白い」と言ってくれた人もいた。賞が撮りたいとか、脚光を浴びたいとか、そんな前のめりさが悪いとは言わないが、上ばかり見てクサクサしているのも良くない。

地に足をつけて次のことを考えよう。そう思い始めた矢先のことであった。「STFF-S」で最多部門ノミネートされているという。(作品賞、脚本賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞)最多部門ノミネートというのはつまり、グランプリ最有力候補と捉えて構わない、ということだ。

地に足をつけよう、と決めた直後にグランプリの気配が漂ってくるとは、なかなか人生はうまく噛み合わないものである。(スケジュールに関しては「STFF-S」というのは特殊な映画祭で、1日で全てが決まらない。ノミネートが決定してからも渋谷で何度か上映があり、さらに佐世保で賞が決定するまで2ヶ月ほどの猶予があった)

 

評価してもらえることの嬉しさはある。

だが、今年のアカデミー賞、「アイリッシュマン」が10部門ノミネートされながら無冠に終わったのを見て、他人事じゃないと感じる自分もいる。スコセッシだって無名の日本人監督に感情移入されても困るだろうが、期待が膨らめば膨らむほど、叶わなかった時の反動が大きくなってしまう怖さがあった。

そんなこんなで、なるべく「STFF-S」のことは考え過ぎないように過ごしていたのだが、佐世保に入れば必然意識せずにはいられないし、考える時間もそれなりにある。自分の中で期待と不安どんどん重くなっていくので、どこかで抜いておく必要性を感じていた。最近涙もろくなってきてるし、グランプリ獲って泣くならまだいいが、獲れなくて泣くのはみっともない。そこで私は賞発表の直前、1人で散歩に出て、小田和正の「たしかなこと」を聞いて先に泣いておくことにした。

乱暴な話だが「たしかなこと」を聞けば大抵の景色が感動的になる。(佐世保の景色は元から綺麗だけどね)

5分後、佐世保公園のベンチに謎の号泣男が爆誕した。通報されなくてよかった。

www.youtube.com

www.youtube.com

YouTubeには本家の音源がない。松崎しげるver.ならある。
www.youtube.com

f:id:kaitensushitaro:20200404223031j:plain

佐世保の港

そんなこんなで、実際にグランプリが発表された時、私は安堵し、大変嬉しい気持ちになったが、泣きはしなかった。その代わり、予想外なことに、何か重圧のような、責任感にも似たようなものを感じた。それは、映画祭に対してや、他のノミネート作品に対してのことだと思う。私の勝手な気持ちだし、傲慢かもしれないが、そうだった。思えば、私が今まで映画祭で背中を見てきたグランプリ作品の監督たちも、そのように感じていたりしたのだろうか。

打ち上げにて、他の監督さんたちが気さくに話しかけてくれたり、時には祝ってくれたりしたのを見て、私は今まで、このように広い心で打ち上げに参加してきただろうか、と自省した。きっと皆悔しいに違いない。今日眠れないかもしれない。

それでも、皆笑っている。

まあ、私と違って百戦錬磨の方々だから、もっと違う境地にいるのかもしれない。ついでに言えば、私は他のノミネート作品のほとんどに、別の映画祭で負けたことがあるし、別の映画祭でグランプリをとった作品もある。だから本当に賞というのは、審査員がどこに重点を置くかで全く変わるのである。

そう考えれば、私が今まで重く考え過ぎていただけなのかもしれない。こんな簡単なことに気づくのにも1年かかるんだなあ。

f:id:kaitensushitaro:20200404222652j:plain

ありがとうございました

映画祭が終わって、知り合った役者さんと一緒に、佐世保市の外れの防空壕を見に行った。彼の次の出演作品で防空壕のシーンがあるので見てみたいのだという。

f:id:kaitensushitaro:20200404222754j:plain

f:id:kaitensushitaro:20200404224019j:plain

小学生たちがこれを掘ったというのだから驚きだ

特に予定がなかったので、ついて行った。そこには常駐のボランティアガイドのお爺さんがいて、見学者である我々が近づいてくるのを待ち構えており、怒涛の防空壕解説を15分くらい聞かせてくれた。とってもわかりやすいガイドだったが1つだけ難点があり、こちらから質問をしても全て無視されてしまうのである。

RPGのキャラかと思った。防空壕の前に立ってるところから込みで、RPGっぽい。

ガイド内容を暗記しているから、あまりペースを乱されたくないのだろうか。悪意がなく、ナチュラルにスルーされるので、笑いそうになってしまう。とはいえ戦争の話なので、もはや「笑ってはいけない防空壕2020」であった。佐世保の思い出はそんな感じ。

 

徒然と書いてきたが、とにかく、この1年結構もがいてきたな、ということと、「STFF-S」関係者の皆様への感謝の気持ちが記録されていれば、この記事は役割を果たしたとしよう。次の眠れない夜に、またこの記事を読むかもしれないし。

現実逃避

ワンポイント

電車の向かいの席に座っている女性が、ビシッとスーツを着ているが、鼻輪もしている。

ビジネス上手くいくのだろうか。

 

「高島優毅」という名前の「毅」という字を電話で説明しようとするとき、「犬養毅の毅です」だと通じない時があるが、「亀田興毅の毅です」と言えば100%通じる。

今、「毅」日本代表は亀田興毅なのだ。

 

重複

石崎ひゅーいの「夜間飛行」の歌詞「僕はこの夜空を飛べることなんかできない」ってかまいたちの漫才の「もし俺が謝ってこられてきてたとしたら」と似てるよな。

 

現実逃避

引越しの準備をしなきゃいけないのにドラクエビルダーズをやってしまう。ドラクエビルダーズの中では、引越しをしている。

何をやっているんだ、俺は。

 

好きなタイプ

ファミレスにて、隣の席の会話。

A「俺、新幹線顔の子が好きなんですよね。昔の彼女も新幹線顔で」

B 「そうなんだ。こだま?」

A「いや、のぞみです」

世論の在り処

2択

よく行く回転寿司屋は安いし美味しいので好きなのだが1つだけ怖いところがあって、つぶ貝を注文した客に対してレーンの中の大将が、「つぶ貝は”活け”と”冷凍”がありますが!!」と大声で聞くのである。

もちろん”活け”は高く、”冷凍”は安いのだが、ここでスパッと「冷凍で!」と言える客がいるだろうか。

「じゃ、じゃあ”活け”で」という返事を聞きながら、私はいつも「言えねえよな」と思う。

 

人間模様

撮影現場では時に人間模様が濃く現れるものだが、この間、皆がバタついているときに、「一旦落ち着こう!!落ち着いて考えよう!!ね!一旦!」と、落ち着きなく言って回る人がいた。

その人以外は皆冷静になったので、ある意味効果的なのかもしれない。

 

世論

深夜のバーミヤン。テーブル席に6人のおじさんがギュウギュウに座り、「チュートリアルの徳井を許すべきか」熱い議論を交わしている。

そうか、世論ってバーミヤンにあったのか。

 

宮沢賢治

夜の渋谷、道で酔っ払いが軽い喧嘩をしているのを見て、先輩が「仲裁してやれよ」と言った。私は「嫌ですよ、宮沢賢治じゃあるまいし」と言った。先輩は「訳わかんねえこと言うなよ」と言った。まあ、確かにね。

酒豪の理不尽

本領発揮

急いでいるときに限ってエレベーターがなかなか来なかったりするものだが、最近はもう、そういうエレベーターを見ると「本領発揮してんなあ」と思うことにしている。

いざという時なかなか来ないのは、エレベーターの本領だ。

 

曲調

最近、ぼわーっとしたコーラスの歌が好きだということに気づいた。

うまくは説明できないが、「カーマは気まぐれ」のサビとか

www.youtube.com

ゴスペラーズの「星屑の街」のイントロとか。

www.youtube.com

Nissyのこの曲のサビもそうだ。

www.youtube.com

Nissyの他の曲も聴いてみたが、この曲だけが特に好きなのである。特にサビの「顔上げて Don't be shy」の「shy〜」がぼわーっとしていて聞き入ってしまう。

何故なんだろう。自分のことながら、少し怖い。

 

現代のハゲワシ

スーパーで人だかりができていた。輪の中心にはお惣菜に割引シールを貼る人。

何かに似てると思ったら、ハゲワシだ。

古くなったお惣菜は行き倒れ。店員は死神。客はハゲワシ。

そして私も、ハゲワシの輪に加わった。

 

酒豪の理不尽

酒弱い人あるあるかもしれないけど、酒豪の友人に付き合って深夜まで飲んで、翌日会った時に「昨日飲みすぎて記憶ない」と言われると、「誰のための時間だったんだよ…」と思う。

「死の博物館」と「自撮り美術館」とアメリカの揚げ出し豆腐【ハリウッド映画祭参加日誌⑥・最終回】

kaitensushitaro.hatenablog.com

この「ハリウッド映画祭参加日誌」もついに最後の記事になった。ついに、というか、よくここまで時間がかかったものである。映画祭が終わって間もなく5ヶ月が経とうとしている。私の記憶も曖昧になりつつある。そして人間ドックにはまだ行っていない。毎日仕事に追われているからだ。バカである。冬が終わり春になった。ワニも100日が経ち死んでしまった。

そろそろ書き終わろう。

 

ハリウッド滞在の3日目の午後、映画祭を終えた私は「Museum of Death(死の博物館)」に向かった。これは、Google Mapで色々見ていた時に偶然見つけた博物館で、調べてみると、訪れた日本人のブログ記事もいくつか見つかった。それによれば、「死の博物館」という名前の通り、死体写真、殺人鬼の手記、骸骨や凶器などが多数展示されている、個人経営の博物館らしい。館内は撮影NGのため、行かなければそれらを見ることは出来ない。

「せっかくなので日本じゃ行けないところに行こう」と思った通りの場所だが、そういうことなのだろうか。分からないが、そんなに遠出もできないし、ハリウッド大通りをまっすぐ行けばいいだけだから、とにかく行こう!と思い立ち、歩き出した。

だが、分かってはいたつもりだったが、私の想定の何倍も、ハリウッドは広かった。通りは1本なのに、果てしなく遠い。50分くらい歩いただろうか。もはや夕暮れに差し掛かる頃、ようやくたどり着いたのだった。

f:id:kaitensushitaro:20200322235458j:plain

まさに、という感じの外観

中に入ると、「気分が悪くなっても責任取らないよ」という注意書きが。そして、受付のお兄さんに荷物を預けなくてはならないのだが、そのお兄さんが、ティム・バートンの人形劇くらい青白く、革ジャンを着た「ザ・ヤク中のバンドマン」みたいな風貌なので既に怖い。色々とルールを説明してくれるのだが、破ろうものなら容赦無く刺してきそうな気がする。

中の展示物は、「ああ、俺、英語読めなくてよかったかもな」と思う程度にはグロく、説明文を読んでないだけまだマシという感じだった。特に、交通事故の死体写真のコーナーのインパクトは強く、自分もこれになる可能性があると思うと恐ろしく、結構教育的な意義もあるんじゃないかと思ったりもした。館内には結構人がいて、カップルとか、女性だけのグループもいたりして、女性が多い印象だった。

そんな中、突然スマホにメッセージが届き、なんと映画祭で出会ったQさんが、「時間があるので合流したい」というではないか。死の博物館にいるとは伝えてあるので、Qさんも物好きとしか言いようがない。Qさんはアメリカ在住なので、まさか歩いては来ないと思うが、私は展示物をもう半分以上見たところだったので、しばらくQさんを待つ必要がある。

すると館内に椅子が置いてある休憩コーナーを発見。散々歩いてクタクタだったこともあり、そこで待つことにしたのだが、そこではモニターに資料映像が流れていて、それは太った男の死体を解剖する様子をノーカットで見せるというとんでもないビデオだったQさんが来るまで私は太った男の死体が解体される様子を延々見なければならない。全然見たくないが、館内に座れるところは他にないのである。脂肪って中は黄色いんだなあ……。全然求めてない情報を得ながら私はQさんを待った。

果たしてQさんは私が死体解剖ビデオの2周目を見始めたあたりで現れた。顔色一つ変えずに展示物を見て回るのは、さすが、アメリカ歴が長いからだろうか。何にせよ心強い仲間ができた。私とQさんは、受付のティム・バートン風兄貴に別れを告げ、「死の博物館」を後にした。「死の博物館」、よっぽど暇な時は是非オススメです。

f:id:kaitensushitaro:20200322235333j:plain

砂時計とバラのロゴがおしゃれ

さて、Qさんは私のハリウッド観光に付き合ってくれるというので、私は先ほど大通りを歩いた時に気になっていた「Museum of Selfies(自撮り美術館)」というスポットに行きたいと申し出た。するとQさんは慣れた手つきでUberを手配。瞬く間にUberの車が現れたのだった。図らずも、「Uberに乗ってみたい」というこの旅の目的が達成されることになった。Uber運転手は何だか重低音を流している大柄な黒人の人だったが、怖いことはなく、ほぼタクシー1メータくらいの距離で我々は降りた。こんな短距離でも手軽に乗れるとは、聞いていた通りかなり便利だ。アメリカは広い。とにかく歩くのは無理があるのである。そしてやってきた「自撮り美術館」。結構入場料が高い。25ドルだったかな。

f:id:kaitensushitaro:20200322235538j:plain

まさに、という外観

私はてっきり、自撮り写真ばかり集めて展示しているのだと思ったのだが、中に入ってみたら、自撮り用の背景があるだけのスタジオだった。騙された!完全に観光客向けの安い施設だった!だが、悔しいので私もQさんも自撮りに挑戦する。

f:id:kaitensushitaro:20200323000711j:plain

例えば、このボールがたくさんあるプール

f:id:kaitensushitaro:20200322235529j:plain

本来ならこうなるはずというお手本写真

f:id:kaitensushitaro:20200323000817j:plain

実際の私の自撮り

なかなか酷い出来だが、もう楽しむしかない。25ドル払っているのである。そして、自撮りじゃどうしようもない背景も多い。Qさんがいてくれてよかった…!

f:id:kaitensushitaro:20200323004207j:plain

こんなの自撮りじゃどうしようもない

 そんな感じで自撮り美術館をそれなりに楽しんだ私とQさんが最後に向かったのは、朝見つけた寿司屋である。Qさんには申し訳ないが、私は海外のリーズナブルな寿司屋がどんなもんなのか、行ってみたかったのだ。 

f:id:kaitensushitaro:20200201032522j:plain

ついにやってきた

例えば、イタリア人がサイゼリヤを見たら多分笑うのと同じように、私にとって「Hollywood SUSHI」もなかなか面白い店だった。店の内装はまるで日本の祭りのようだが、店員さんは韓国語の服を着ているし、アジアのイメージがごちゃ混ぜになっている。

f:id:kaitensushitaro:20200322235419j:plain

これが内装

メニューには握り寿司はほとんどなく、多いのは「ロール」である。

f:id:kaitensushitaro:20200322235556j:plain

ロール一覧

さらに、「Appetizers(前菜)」の欄を見ると、枝豆やビーフ餃子などと並んで「揚げ出し豆腐」があるではないか!揚げ出し豆腐が「前菜」というのも変だが、掲載されている写真も面白い。

f:id:kaitensushitaro:20200323001806j:plain

豆腐には皿がない

いくつかの寿司、ロールと、揚げ出し豆腐を頼むことにした。

そして、届いたのがこれである。

f:id:kaitensushitaro:20200322235549j:plain

これがアメリカの揚げ出し豆腐だ!!!

f:id:kaitensushitaro:20200322235510j:plain

確か、これはHollywood Roll

f:id:kaitensushitaro:20200322235430j:plain

握り寿司はしゃりもネタもデカい

f:id:kaitensushitaro:20200322235409j:plain

醤油はキッコーマンなので美味しい

寿司は、スーパーの惣菜寿司と同じくらいのクオリティで、不味くはないのだが、まあ、店で食べるにしては物足りないなあ、という感じ。そして揚げ出し豆腐は、豆腐をフリッターのようにしており、甘辛いタレにつけて食べるという謎の料理に変貌していた。タレは、例えるなら、伊勢うどんのタレに味が似ている。(わかりづらいが…)とにかく濃くて甘いのである。まあ、不味くはない。不味くはないが美味しくもない。全体的にそんな感じだ。そんなに繁盛してる感じもない。ただし、サッポロのジョッキで出てきたビールはやたらと美味かった。中身もサッポロなのだろうか。

f:id:kaitensushitaro:20200323002434j:plain

やたら美味い

この店で寿司をつまみつつ、Qさんと映画のことを話していたが、私の腰痛もあまり良くなかったので早々に解散となった。Qさんには色々と付き合っていただいておきながら、最後には腰痛で解散ということで申し訳なさがあったが、とにかく明日の飛行機移動のことを考えると無理はできない。

ついに、ハリウッド最終日が終わった。最後、ホテルに戻った時、ロビーでイベントをやっていて、警備員に「ここ、立ち入り禁止ですよ」と言われたのだが、「I stay here(私、ここに宿泊してるんですよ、の意)」とスッと出てきたのは、何だか今回の俺の英会話の集大成という感じがあったな……。(低レベル)

そして翌朝、私はまたもやタクシーで空港までたどり着き、なんとか飛行機に乗り込んだ。帰りの道中のことはあまり覚えていない。いつだって、旅の帰りはあっという間なのである。「ズートピア」を見たことしか覚えていない。

ようやっと私も海外旅行に慣れてきたのだろうか、あの、成田空港に降り立った時の、高揚感はいつもほどはなかった。ロサンゼルスに日本人が多かったからだろうか。

まあとにかく、腰も無事で、日本に帰ってきた。空港で、借りていたワイファイなどを返却する。その時、私は気づいた。「ili」がない!!!

あの夢の翻訳機、「ili」が無くなっているのである。そういえば「ili」はお守りがわりにジャケットの胸ポケットに入れていたはずだった。それがいつからか無くなっているのだ。テンパりつつも写真を遡ってみると……

f:id:kaitensushitaro:20200323003836j:plain

この時はまだある

f:id:kaitensushitaro:20200323004403j:plain

ない!!!!

ということは、「自撮り美術館」のどこかで無くしているのである。

そして、決定的瞬間はQさんが撮ってくれた動画に収められていた。

f:id:kaitensushitaro:20200323005408g:plain

私が顔文字ボールの海に遠慮がちにダイブしたこの瞬間、夢の翻訳機「ili」は胸ポケットから飛び出し、顔文字の書かれたボールの海に沈んでいったのである。そうとしか考えられない。

f:id:kaitensushitaro:20200323000817j:plain

既にこの時なくしている

なんということだろう……。

もう海の向こうに取りに行くこともできない。こうして、レンタルした「ili」を紛失したことにより、私は4万円の弁償代を払うこととなった……。ジョーカーにカツアゲされた2000円よりも、「自撮り美術館」の2500円よりも、自分のうっかりミスの代償の方が、はるかに高かったのだ…!!

こうして私のハリウッド映画祭弾丸ツアーは、翻訳機紛失で多額の弁償代を支払うという衝撃のラストを迎えてしまったが、まあ、それを抜きにして考えれば、ハリウッドのチャイニーズシアターで自作品が上映されるという名誉なことに立ち会えたのは非常に良い思い出であった。そして海外に行くと自分の無力さや未熟さが浮き彫りになるからそれも良い。浮き彫りになり過ぎ、という説もあるが……。まあ、いいじゃないか。とにかく良いことも悪いことも充実した出張であった。

関係者の皆様、現地で出会った皆様、ありがとうございました。